リチウムイオン電池 事故 モバイルバッテリー

スマホの充電や旅行用の電源として欠かせない「モバイルバッテリー」。

しかし、「使っていたら突然発煙した」「バッグの中で爆発した」といった事故の声を耳にしたことはありませんか?

こうした事故の多くに共通しているのがリチウムイオン電池のトラブルです。

リチウムイオン電池は便利な反面、扱いを誤ると重大な事故につながることがあります。

ガジェるではこれまで、Apple製品をはじめとしたさまざまなガジェットを紹介してきました。

そうした製品に欠かせないリチウムイオン電池の安全な使い方を、改めて見直していただくために、今回この記事を作成しました。

本記事では、NITE(製品評価技術基盤機構)や消費者庁が公開している実際の事故例とその背景をもとに、モバイルバッテリーに関する最新の発火事故事例と安全に使うためのポイントを詳しくご紹介します。

リチウムイオン電池とは?便利だけど高リスクなバッテリー

リチウムイオン電池とは バッテリー

私たちの生活に欠かせないスマートフォンやモバイルバッテリー、ワイヤレスイヤホンなど、多くの製品に使われているリチウムイオン電池。

リチウムイオン電池の特徴は、小型・軽量でありながら非常に高いエネルギー密度を持つことです。

そのため長時間の使用が可能ですが、一方で下記のような条件が重なると事故の原因になります。

発火・発煙の主な原因

  • 過充電・過放電
  • 落下や衝撃による内部破損
  • 高温環境での使用・保管
  • 劣化や膨張の放置
  • 端子ショート(ケーブルとの接触など)

モバイルバッテリー発火事故実例まとめ

リチウムイオン電池は便利な反面、扱いを誤ると突然発火・発煙する危険があります。

ここでは、NITEや消費者庁の情報をもとに、実際に報告された発火事故の事例を詳しく紹介します。

充電中や高温環境でのトラブル、非正規品の使用など、どのような状況で事故が起きやすいのかを具体的に把握し、安全対策の参考にしてください。

【実例①】モバイルバッテリーの充電中にバッグの中で発煙

スマートフォンをモバイルバッテリーに接続し、充電しながらバッグに入れていたところ、移動中にバッグ内から煙が発生

周囲の人がすぐに気づいて対応し、大事には至りませんでした。

出火の原因は?

バッグに入れていたことで、外から圧力が加わりで内部がショートし、発煙に至ったと見られています。

充電中は”目に見える場所”で管理が重要です。

【実例②】京都のホテル客室でモバイルバッテリーが発火

6日午前1時40分ごろ、JR京都駅前にある「都ホテル京都八条」(京都市南区)の客室で、宿泊中のモバイルバッテリーが発火しました。

発火により机の一部が焼損しましたが、火はすぐに消し止められ、けが人はいませんでした。

出火の原因は?

現時点では消防が原因を調査中ですが、モバイルバッテリー内のリチウムイオン電池が短絡(ショート)や過熱によって発火した可能性があります。

ホテル側によると、出火した客室には中国籍の30代女性客2人が宿泊しており、宿泊客らは一時外に避難しました。

充電中のモバイルバッテリーは、周囲に燃えやすい物がない安全な場所で使用・保管することが推奨されます。

【実例③】大阪地下鉄車内でモバイルバッテリーが発火

4日午後2時40分ごろ、大阪メトロ御堂筋線の心斎橋駅近くを走行中の地下鉄車内で、乗客のバッグが発火しました。

バッグ内のモバイルバッテリーから発火した可能性があり、女性2人が軽いやけどを負いました。

出火の状況は?

大阪市消防局によると、消防車11台が出動し、現場到着後の午後3時20分に鎮火を確認しました。

御堂筋線は車両点検のため約50分間全線で運転を見合わせ、その日の午後3時半から運転を再開しています。

モバイルバッテリーは車内での充電や保管に注意し、過熱や衝撃を避けることが重要です。

【実例④】杉並区マンションでモバイルバッテリーが発火

25日午前1時50分ごろ、東京都杉並区阿佐谷南1丁目の5階建てマンションから、「モバイルバッテリーから出火した火事です」と119番通報がありました。

2階の1室約20平方メートルが焼損し、住人の女性と他の部屋の男女5人が煙を吸うなどして搬送されましたが、いずれも軽傷でした。

出火の原因は?

杉並署によると、火元の女性はモバイルバッテリーをスマートフォンにつなぎ充電したまま就寝しており、異音に気づいて起きると火が上がっていたと説明しています。

充電中に過熱したり、バッテリーの消耗が早い場合は使用を中止し、販売店やメーカーに相談しましょう。

PSEマークのある安全な製品を選ぶことも重要です。

【実例⑤】品川区マンションで携帯型扇風機が出火

23日午前8時35分ごろ、東京都品川区東品川3のマンションの一室から「黒煙が出ている」と近隣住民から110番通報がありました。

火元の部屋に住む30代男性ら4人が軽傷、現場で活動した東京消防庁職員1人もやけどを負いました。

出火の原因は?

署によると、男性は「充電中の携帯型扇風機周辺から出火した」と話しており、現場で携帯型扇風機が激しく燃えていたことが確認されています。

東京消防庁は出火原因を詳しく調査中です。火は約2時間後にほぼ消し止められ、火元の部屋はほぼ全焼しました。

充電中の小型家電は発火リスクがあるため、使用・充電中は目の届く場所に置き、就寝時は電源を切るなど注意が必要です。

【実例⑥】JR山手線でモバイルバッテリーが発火

20日午後4時10分ごろ、JR山手線内回りの新大久保―新宿間を走行中の車両で、乗客の荷物から火が出たとの通報がありました。

バッテリーの持ち主の30代女性が指にやけど、20〜50代の男女4人が避難の際に体を打つなどして、合計5人が軽傷を負いました。

出火の原因は?

警視庁によると、発火したのはモバイルバッテリーとみられます。持ち主の女性は「スマホを充電していたらバッテリーが発熱し、約30秒で発火した」と説明しています。火は間もなく鎮火しました。

JR東日本によると、乗客が車両の非常用ドアコックを操作して線路に降り、山手線は内回りと外回りが一時全線で運転を見合わせました。

リチウムイオン電池を使用するモバイルバッテリーは、衝撃や劣化によって発火・発煙のリスクがあります。

特に夏場は事故が増える傾向にあるため、充電中の放置は避け、異常があれば使用を中止しましょう。

【実例⑦】非純正バッテリーが爆発し室内で火柱が発生

ネット通販で購入した非純正のバッテリーを充電したところ、充電開始から20分後に突如爆発

40cm以上の火柱が上がり、消化器で消化したものの足に火傷を負う怪我、床を焼損する事故が発生しました。

出火の原因は?

丸型PSEマークの記載がないことや内部の保護回路が不十分だったため、過充電状態となり破裂・発火に至ったと考えられています。

安価すぎる製品や、PSEマークのない製品は避けましょう。

【実例⑧】ハンディファンが充電中に発火

充電中の扇風機付近から異音がして発火し、ハンディファンおよび周囲が焼損しました。

出火の原因は?

リチウムイオン電池が内部ショートして異常発熱し、発火・焼損したものと考えられます。

【実例⑨】犬がWi-Fiルーターを噛んで発火、床が焦げる事故に

室内で飼われていた犬が、床に置いて充電されていたモバイルWi-Fiルーターにかみつき、製品が変形。

内部のバッテリーがショートし、発火して床が焦げる事故が発生しました。

出火の原因は?

リチウムイオン電池に局所的な力が加わって変形し、内部で短絡(ショート)が発生したと見られます。

バッテリーには歯形と思われるへこみが認められました。

ペットのいる家庭では、充電中のデバイスを床に置かない・触れない場所に設置を

【実例⑩】車内に放置したモバイルバッテリーが高温で爆発

エンジンが停止した状態で駐車されていた無人の乗用車でモバイルバッテリーから出火し、運転席側ダッシュボード付近を焼損する火災が発生しました。

出火の原因は?

ソーラーパネル式モバイルバッテリーを太陽光で充電したままダッシュボード上に置き忘れたことで、駐車後約2時間が経過し車内温度が上昇

その熱の影響で、バッテリー内部の構成部品が変形しショート。

電解液に着火し、モバイルバッテリーから炎が上がって内装部品に引火しました。

炎天下の車内は予想以上に高温

この火災は4月中旬に発生。外気温はわずか17℃でしたが、実験によると晴天時で外気温19℃の条件下、車内は2時間で55℃、ダッシュボード上はなんと79.2℃に達したことが確認されました。

夏場以外でも、車内・ダッシュボードへの放置は絶対NG!

消費者庁・NITEも警告|リチウムイオン電池製品の事故が急増中

リチウムイオン電池 注意喚起

消費者庁・NITEによると、2023から2025年にかけてリチウムイオン電池製品による事故報告件数が急増しています。

特に夏場や旅行シーズン、充電機器の持ち運びが増えることで、事故のリスクが高まる傾向にあります。

NITEが注意喚起しているポイント

  • 正規品・PSEマーク製品の使用
  • 充電中はそばを離れない
  • 端子やケーブルが傷んでいないか定期的にチェック
  • 保管時は絶縁テープで保護

また、モバイルバッテリーなどのリチウムイオン電池は、高温や衝撃だけでなく持ち運び方にも注意が必要です。

特に飛行機に持ち込む際は、容量制限や預け入れ禁止などのルールがあります。

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なぜ事故が増えているのか?

事故の件数が年々増加傾向にある背景には、いくつかの要因が挙げられます。

  • ネット通販の普及により、安価な製品が誰でも簡単に入手できるようになった
  • リチウムイオン電池に関する安全意識が、一般消費者の間に十分に浸透していない
  • 製品ごとに異なるリスクや注意点が十分に認識されず、取り扱いに問題が生じている

正しい知識がないまま使用すると、大きな事故に繋がる可能性があります。

まとめ

リチウムイオン電池製品の事故は誰にでも起こり得ます。

日々の暮らしに欠かせないガジェットだからこそ、正しく安全に使い続けていただくことが大切です。

ぜひこの機会に身近な製品の使用環境を見直してみてください。

  • 安すぎるバッテリー製品は選ばない
  • PSEマーク・国内販売実績を確認
  • 充電中は目の届く場所で使用
  • 炎天下や就寝時は使用を避ける
  • 保管時は端子を絶縁テープで覆う

今後もガジェるでは、Apple製品や最新ガジェットとともに、その裏側にある安全情報についても引き続き発信していきます。

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ガジェる 編集長 シロ
編集者情報

シロ

編集長|iPhone / Apple Watch / 100均 / クラウドファンディング

Apple製品、特にiPhoneやApple Watchの最新情報収集に余念がありません。100均グッズや日々の暮らしを豊かにするライフスタイル記事も得意です。皆様の生活に役立つ、ちょっとした工夫やお得な情報を、独自の視点でご紹介していきます。

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公開日 : 2025/7/11


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