スマートフォンやノートPCなどに欠かせないモバイルバッテリー。

便利な一方で、リチウムイオン電池の発火事故は年々増加しています。

こうした背景の中、バッテリーの「安全な保管と回収」を目的に、発火を封じ込める防火ケース(防爆バッグ)の導入が進みつつあります。

公共空間での安全確保が課題となる今、その仕組みと役割を解説します。

増えるモバイルバッテリーの発火事故

リチウムイオン電池は小型で高性能な反面、過充電・衝撃・高温環境などによって内部短絡(ショート)を起こしやすい構造を持っています。

NITE(製品評価技術基盤機構)の調査によれば、モバイルバッテリーに関連する事故は2020年以降も増加傾向。

特に「充電中」「廃棄時」「持ち運び中」の発火・発煙事例が多く、バッグの中や車内で炎上するケースも報告されています。

こうしたトラブルの多くは、発火を止められなかったことによる二次被害です。

そこで注目されているのが、炎や高熱を閉じ込めるための防火ケースです。

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防火ケース(防爆バッグ)とは?

防火ケースとは、モバイルバッテリーや小型リチウム電池を収納し、発煙・発火時に炎を内部に封じ込めるための耐火・耐熱バッグのことです。

一般的な特徴は以下の通りです。

  • 発火を封じ込める耐火構造
    高温に耐える防炎繊維素材を使用し、内部での燃焼を外に漏らさない設計。
  • 軽量・コンパクト
    ホテルや鉄道施設など、限られたスペースにも設置しやすい。
  • 簡単な初期対応が可能
    万一発火した場合でも、バッグごと水に浸すなどで延焼を防止。

発火しても被害を広げない安全対策として注目が集まっています。

公共空間でも導入が進む

宿泊施設や交通機関など、公共の場では多くの人が電子機器を持ち込みます。

ホテルの客室や駅構内での充電中にバッテリーが発煙した場合、迅速に対応しなければ火災や避難騒ぎに発展するリスクがあります。

このようなリスクを低減するため、最近では防火ケースを使って不要なモバイルバッテリーを一時保管・回収する仕組みが導入されはじめています。

特に都内の一部リサイクル事業者では、リチウムイオン電池を安全に回収できる防爆バッグを採用し、ホテルや駅ビルでのレンタル提供を計画しています。

利用者は不要になったモバイルバッテリーを預けるだけで、施設側が安全に保管・処理を代行。

公共施設にとっても「火災リスクを低減しながら追加コストを抑えられる」として、関心が高まっています。

参考情報:株式会社信太商店 プレスリリース同社リチウムイオン電池回収サービス

防火ケースの仕組みと安全性

防火ケース(防爆バッグ)には、多層構造の耐火素材が使用されています。

外層は高温にも変形しにくい防炎素材、内層には熱を遮断する絶縁層を設けることで、炎や煙を内部に閉じ込め、鎮火までの時間を稼ぐ設計になっています。

発火時の対応は次のようにシンプルです。

  • バッグの外側から水をかける
  • バッグごと水の入った容器に沈める

これにより延焼を防ぎ、初期対応を落ち着いて行うことが可能です。

まとめ

モバイルバッテリーの火災を防ぐには、防火ケースを使った保管と安全な回収が有効です。

発火のリスクをゼロにすることは難しくても、被害を最小限に抑えることは誰でもできます。

日常的に防火ケースを活用し、公共空間でも家庭でも安全なバッテリー管理を心がけましょう。

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ガジェる 編集長 伊藤
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伊藤

編集部・ライター|最新テクノロジー(Apple製品、VR/ARなど)/ビジネス/海外動向/ゴルフ

メディアに携わって5年のライター伊藤です。アメリカや中国やヨーロッパ出張で培ったグローバルな視点から、世界のトレンドを常に追いかけています。ゴルフや読書で知見を深める傍ら、Apple製品の動向やVR/ARといった最先端技術にもアンテナを張り、読者の皆さんの知的好奇心を刺激するコンテンツをお届けします。

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公開日 : 2025/10/28


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