準固体電池とは

スマホやノートパソコン、モバイルバッテリー、電気自動車など、私たちの身の回りには「リチウムイオン電池」を使った製品があふれています。

しかし、そうした便利な機器の中には、時に発火や爆発といった事故を引き起こすものも。

実際に、2025年7月にはJR山手線の車内で、スマートフォンを充電中のモバイルバッテリーから突然火が出て、乗客5人がけがをする事故が起きました。

電車は最大2時間運休し、ニュースやSNSでも大きく話題になりました。

こうした背景から、「もっと安全な電池はないの?」という声が高まっています。

そこで今、“リチウムイオン電池の次”として注目されているのが「準固体電池」という新しいバッテリー技術です。

聞き慣れない言葉かもしれませんが、準固体電池はリチウムイオン電池と同じくらいのエネルギーを持ちながら、より安全性が高く、将来的にはスマホやEV(電気自動車)への搭載も期待されています。

この記事では、

  • 準固体電池とは?
  • リチウムイオン電池とどう違う?
  • メリット・デメリットは?
  • 「発火しにくいモバイルバッテリー」おすすめ7選

といった内容を、初心者にもわかりやすく解説していきます。

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準固体電池とは?リチウムイオン電池との違い

私たちが普段使っているリチウムイオン電池は、高性能で軽く、小型の電子機器やEVに欠かせない存在です。

しかし、その内部には液体の電解質が使われており、この液体が漏れたり高温になったりすると発火や爆発のリスクがあることが知られています。

先述のように、モバイルバッテリーや電子タバコ、ポータブル扇風機など、実際に事故が報告されている製品も多数あります。

そこで登場したのが、より安全性を高めた新しい電池技術「準固体電池」です。

「準固体電池」とは?

準固体電池とは、液体と固体の中間のような性質を持つ“ゲル状の電解質”を使用する電池です。

名前の通り、“準”固体なので完全に固まっているわけではありませんが、液漏れのリスクが低く、熱にも比較的強いのが特徴です。

これにより、発火や爆発のリスクを大幅に減らすことが期待されています。

準固体電池とリチウムイオン電池の違い

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項目 リチウムイオン電池 準固体電池
電解質の状態 液体 ゲル状(液体と固体の中間)
発火リスク 高い(液漏れ・熱で発火) 低い(電解質が安定)
安全性
エネルギー密度 高い 同等〜やや低い(技術開発中)
製造コスト 低〜中 やや高め(現時点では)
市場導入状況 広く普及済み 一部企業が試験導入・開発段階

なぜ今「準固体電池」が注目されているのか?

安全性の高さに加えて、EV(電気自動車)やウェアラブル機器など、安全性が最重要な分野でのニーズが高まっていることが背景にあります。

とくに電気自動車においては、リチウムイオン電池の発火事故がたびたび報道されており、自動車メーカーも次世代バッテリーへの投資を加速しています。

準固体電池は、「次の一手」として、各国の企業・大学・スタートアップがこぞって研究開発に取り組んでいる注目分野です。

次の項目では、「準固体電池」が持つメリット・デメリットについて、実際の活用シーンを交えながらわかりやすく解説します。

準固体電池のメリット・デメリット

準固体電池 メリット デメリット

準固体電池は「次世代のバッテリー」として期待が集まる一方で、まだ発展途上の技術でもあります。

ここでは、準固体電池が持つメリット・デメリットの両面をわかりやすく整理していきましょう

メリット①|発火リスクが大幅に低減

最大の特徴は、安全性が高いという点です。

ゲル状の電解質は、液体のように漏れたり急激に反応したりしにくいため、過充電や高温環境下でも安定性が高く、発火・爆発のリスクが軽減されます。

実際、2025年7月にはJR山手線の電車内で、スマートフォンを充電中のモバイルバッテリーが発火し、乗客5人が軽傷を負うという事故が報じられました。

このような事故の多くは、リチウムイオン電池の液体電解質が高温や衝撃で反応した結果起きています。

準固体電池の普及が進めば、こうした事故の大幅な減少が期待できます。

メリット②|構造がシンプルで小型化に有利

準固体電池は、液体を封じるための複雑な構造が不要になり、部品の点数を減らすことが可能です。

これにより、より小型で軽量な設計が可能となり、今後はウェアラブルデバイスやドローン、ARグラスといった分野での活用が見込まれています。

メリット③|高エネルギー密度の実現可能性

研究段階ではありますが、準固体電池は将来的にリチウムイオン電池と同等以上のエネルギー密度を持つことができると言われています。

つまり、「より小さく・より長く使える」電池になる可能性があり、EVの航続距離延長や充電回数の低減といった恩恵も見込まれます。

デメリット①|製造コストが高い

現在の技術では、準固体電池は量産技術が確立されておらず、製造コストが高い傾向があります。

そのため、スマートフォンやモバイルバッテリーのような低価格帯の製品にすぐ導入するのは難しいというのが実情です。

デメリット②|長期的な耐久性に課題が残る

試験段階では安定していても、長期間の使用や極端な環境における劣化や性能の変化については、まだ十分なデータがありません。

企業や研究機関では、高温多湿・振動・繰り返し充電といった過酷条件下での実証実験が進められています。

発火しにくいモバイルバッテリー7選

最近では、安全性に配慮した新しい電池を搭載したモバイルバッテリーが続々と登場しています。

ここでは、準固体電池やリン酸鉄リチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池などを採用し、発火リスクを抑えた安心設計のモデル7選を厳選してご紹介します。

毎日の通勤・通学から旅行・災害時の備えまで、「安心して使えるモバイルバッテリー」をお探しの方は、ぜひチェックしてみてください。

エレコム:ナトリウムイオン電池モバイルバッテリー(DE-C55L-9000)

エレコム ナトリウムイオン電池 モバイルバッテリー

ナトリウムイオン電池は、地球に豊富な資源を使う環境にも優しい次世代バッテリーです。

エレコムのナトリウムイオン電池モバイルバッテリーは、9,000mAhの容量でスマホを2〜3回充電でき、重量も軽く持ち運びやすいのが魅力です。

最大出力は20Wで急速充電に対応し、サイズはコンパクトでポケットにもすっぽり収まります。

価格もリーズナブルで、安全性能も高く日常使いにおすすめです。

電池種類 充電式ナトリウムイオン電池
容量 9,000mAh
最大出力 20W
サイズ 約W87×H106×D31mm
重量 約350g
充放電回数 約5,000回
使用温度範囲 0〜40℃
カラー ブラック、ホワイト
価格 7,704円(税込)

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エレコム:リン酸鉄リチウムイオンモバイルバッテリー(DE-C39-12000)

エレコム リン酸鉄リチウムイオン電池 モバイルバッテリー

エレコムのリン酸リチウムイオンモバイルバッテリーは、リン酸鉄リチウムイオン電池を採用し、高い安全性を確保。

12,000mAhの大容量なので、長時間の外出や複数デバイスの充電にも対応可能です。

最大出力は20Wで急速充電対応し、サイズは少し大きめですが持ち運びは十分可能です。

約1000回の充放電が可能で、長く使えるのもポイントです。

電池種類 充電式リン酸鉄リチウムイオン電池
容量 12,000mAh
最大出力 20W
サイズ W78×H159×D17mm
重量 約310g
充放電回数 約1,000回
使用温度範囲 0〜40℃
カラー ブラック、ホワイト
価格 4,438円(税込)

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HAMAKEN WORKS:SSPB(Solid State Power Bank)(HW-SSPB050)

ハマケンワークス 準固体電池 モバイルバッテリー

HAMAKEN WORKS(ハマケンワークス)のモバイルバッテリーは、最新の準固体電池技術を搭載し、5000mAhのコンパクトモデルです。

耐衝撃性に優れ、落としても穴を開けても発火しにくい設計です。

最大出力は15Wで、軽量かつ小型でカバンの中でかさばらず携帯性抜群。

普段使いのサブバッテリーとしても人気です。

電池種類 準固体電池
容量 5,000mAh
最大出力 18W
サイズ H112×W68×D8.9mm
重量 約110g
充放電回数 約2,000回
使用温度範囲 -20〜80℃
カラー ブラック、ホワイト、ピンクゴールド
価格 6,980円(税込)

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エアージェイ:準固体モバイルバッテリー 10000mAh(MB-SS10000)

エアージェイ 準固体電池 モバイルバッテリー

エアージェイの準固体モバイルバッテリーは、準固体電池を採用し、発火リスクを抑えた安心設計です。

10,000mAhの容量に加え、最大30Wの急速充電とワイヤレス充電(最大15W)にも対応。

Type-C端子1ポート搭載。液晶残量表示付きで充電状況も一目瞭然です。

価格もお手頃で、コスパが高い一台となっています。

電池種類 準固体電池
容量 10,000mAh
最大出力 20W
サイズ W68×H112×D17mm
重量 約200g
充放電回数 約2,000回
使用温度範囲 -20〜65℃
カラー ブラック
価格 7,980円(税込)

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エアージェイ:リン酸鉄モバイルバッテリー 10000mAh(MB-LS10000)

エアージェイ リン酸鉄リチウムイオン電池 モバイルバッテリー

エアージェイのリン酸鉄モバイルバッテリーは、リン酸鉄リチウムイオン電池採用の高安全モデル。

10,000mAhで多くのスマホやタブレットを安心して充電可能。

最大18W出力の急速充電に対応し、耐久性も高く約1000回の充放電が可能です。

電池種類 リン酸鉄リチウムイオン
容量 10,000mAh
最大出力 18W
サイズ 約W67.4×D16.5×H149.3mm
重量 約213g
充放電回数 約1,000回
使用温度範囲 0〜45℃
カラー ブラック
価格 3,980円(税込)

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グリーンハウス:モバイルバッテリー 10000mAh リン酸鉄(GH-LFMBPA100)

グリーンハウス リン酸鉄リチウムイオン電池 モバイルバッテリー

こちらもリン酸鉄リチウムイオン電池搭載のモバイルバッテリーです。

10,000mAhの容量で、軽量コンパクトながらパワフル。

動作温度範囲も広く、幅広い環境で使えるのが特徴です。

電池種類 リン酸鉄リチウムイオン
容量 10,000mAh
最大出力 20W
サイズ H140×W69×D17.5mm
重量 約210g
充放電回数 約2,000回
使用温度範囲 0〜40℃
カラー ベージュ、ブラック、ブルー
価格 5,980円(税込)

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HIDISC:準固体電池モバイルバッテリー 10000mAh(HD4-SSMBTC30W10DSBK)※2025年8月15日発売

準固体電池 モバイルバッテリー HIDISC

最新の準固体電池を採用した期待の新作モバイルバッテリーです。

10,000mAhの容量と最大30W急速充電対応で、スマートフォンの場合約2〜3回の充電が可能です。

マグネットワイヤレス充電にも対応し、最大15W出力で充電でき、iPhoneユーザーには嬉しいポイントです。

バッテリー残量が一目で分かるディスプレイ表示機能も搭載しています。

安全性を最優先した設計で、初めてのモバイルバッテリーにも安心です。

電池種類 準固体電池
容量 10,000mAh
最大出力 PD30W
サイズ W69×D19×H109mm
重量 約220g
充放電回数 約2,000回
カラー ブラック
価格 5,500円(税込)

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よくある質問(FAQ)

安全性や使い勝手に優れた次世代モバイルバッテリー。

とはいえ、「準固体電池って結局なに?」「どうやって選べばいいの?」といった疑問を持つ方も多いはず。

そこで最後に、購入前によくある質問をQ&A形式でまとめました。

準固体電池と全固体電池はどう違う?

どちらも「安全で新しいタイプの電池」ですが、違いは中に使われている材料(電解質)の状態です。

  • 準固体電池は、液体と固体の中間のような「やわらかいジェル状」の材料を使っています。
    → すでに実用化が始まっていて、身近な製品にも使われています。
  • 全固体電池は、完全に固まった「固体の材料」を使っています。
    → 安全性もパワーも理想的ですが、まだ量産が難しく、実用化はこれからです。

つまり、準固体電池は「すぐに使える最新技術」全固体電池は「未来に期待される最先端技術」と言えます。

準固体電池は本当に発火しないの?

100%発火しないとは言い切れませんが、従来のリチウムイオン電池に比べて、発火リスクは大幅に低減されています。

理由は、液体電解質ではなく、安定性の高いゲル状電解質を使っているからです。

高温・衝撃・過充電に対しても比較的強く、「発火しにくい構造」になっているのが特徴です。

準固体電池のモバイルバッテリーは重くないですか?

軽量なモデルも増えてきています。

たとえば、HAMAKEN WORKSやエアージェイなどの製品では、100〜200g前後のコンパクトモデルが多数登場しており、持ち運びにも便利です。

むしろ構造がシンプルになることで、今後はさらに小型・軽量化が期待されています。

安全性が高いバッテリーを選ぶポイントは?

安全性の高いモバイルバッテリーを選ぶ際は、以下の3点をチェックしましょう。

  • 電池の種類:準固体電池、リン酸鉄リチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池など安全性に優れた種類を選ぶ
  • PSEマークの有無:日本国内の安全基準を満たした製品に付いているマークです
  • メーカーの信頼性:実績あるブランドかどうかも重要なポイントです

まとめ

モバイルバッテリーの発火事故が続く中、より安全な選択肢として注目されているのが「準固体電池」です。

液体ではなくゲル状の電解質を使うことで、発火や爆発のリスクを大幅に軽減

さらに、小型・長寿命といったメリットもあります。

価格も手頃なモデルが増えており、安心して毎日使いたい方にこそおすすめの次世代バッテリーです。

ガジェるでは今後も、ガジェットライフをより安全に、快適にするための情報を発信していきます。

本記事が、あなたのモバイルバッテリー選びの一助となれば幸いです。

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公開日 : 2025/8/1


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